dm2019
今春のナナクモでの展覧会は、写真家 森善之氏の提案により、
森さんの撮影したポートレートの上から写された本人が描くとい
う試みです。撮影は昨年の冬、アトリエの並びの文化住宅の壁
面を背にして行われ、描いている様子は動画に収められました。
56×45.7cmに引き伸ばされたモノクロの自らのポートレートを
前にしてみなそれぞれ戸惑いました。いつものように白い紙を
出してくれという人もいました。
大江正彦は日常的に若い頃のアルバムから写真を抜きとっては
ボールペンで落書き(マントが描き加えられパーマンに変身し
ている)をしているのでその延長で描いているようです。
茶谷節子は自分の周囲に果物や花や犬たちを描きました。それ
らはすべて4年前に亡くなった「おかあちゃんの好きなもの」
だそうで、自らがお供えと化しておりました。
中正人、金昌裕は身体表面の境界を確かめるように背景に写りこ
んでいる住宅の壁面を塗りつぶしていきました。
稲留武史、平田安弘のとった行為とは…、見てのお楽しみです。彼ら
にとって写真とは何なのか、写真を撮られるとはどういうことな
のか、そこに現像されているのは何?写真の時間とは?本当に考えさ
せられました。
不思議なことも起こりました。稲留の左目部分の上にインクが
飛んだり、平田のちょうど顔のところに赤い円がきたり。森さんに狩
られてしまったなあ。
撮影はみんなにとって祝祭でした。全ては森氏と彼らの親密な身体性から
生れたものです。

4/13(土)と4/14(日)は和歌山橋本より<実カフェ>の出張カフェあり。
和歌山のフルーツを使ったケーキやタルトとドリンクもお楽しみください。
(売り切れ次第終了)
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